神奈川県川崎南部と聞くと、アナタは何を思い浮かべるだろうか。
貧困、人種差別、売春、薬物、ヤ○ザ
ニュータウンの北部と違い、工場地帯の南部は『日本で1番空気が悪い場所』と言われている。
そんな川崎南部から、スターが生まれた。
その名も『BADHOP』だ。
2024年2月に前人未到の東京ドームでの解散ライブ成功させて、間違いなくシーンに名前を残す偉大なHIPHOPクルーになった。
→BADHOPの解散理由と27CLUBの関係【不仲説?方向性の違い?】
しかし、そんなBADHOPに対して、ネットでは
BADHOPはダサすぎ!
という声があるのも事実だ。
そこで今回は『BADHOPがダサすぎ』と言われる理由と、それに対するただの一般人ヘッズの意見を伝えたいと思う。
→YZERRが発表したDis曲「guidance」のリリック解説・感想
さらにABEMAでは『BADHOP1000万1週間生活』を公開中。面白すぎるので絶対に見た方がいい。
→BADHOPの1000万1週間生活が面白すぎる件について【無料視聴方法】
→AbemaTVでオススメのHIPHOP番組30選【完全保存版】
BADHOPとは
BADHOPは神奈川県川崎市出身のHIPHOPクルーだ。
メンバーは以下の8人。
- T-Pablow
- YZERR
- Tiji jojo
- Bark
- Vingo
- Benjazzy
- Yellow Pato
- G-K.I.D
8人それぞれが個性を持っていて、全員が日本トップレベルのラップスキルを兼ね備えている。
より詳しいBADHOPのメンバーの魅力を知りたい場合は以下の記事にて紹介している。
BADHOPはインディーズ(メジャーに所属していない)で
- 最年少武道館ライブ達成
- 1億円の無観客横浜アリーナライブ決行
- 海外有名プロデューサーと楽曲制作
- 国内最大級のHIPHOPイベントのほぼ全てのヘッドライナーを務める
など、数々の伝説を残してきた。
それでも、コメント欄ではいわゆる「ヘイター」たちが
BADHOPはマジでダサすぎ!!!!
と騒いでいるのだ。
ヘイター:ネット上でなんでも批判し、陰口ばかり言う人。
BADHOPはダサすぎと言われる理由
そんな破竹の勢いをみせるBADHOPだが、なぜダサすぎと言われるのだろうか。
主に考えられる理由は以下の3つだ。
1.そもそもHIPHOPがダサいというイメージがまだ日本は強い
現在、HIPHOPはROCKのジャンルを抜いて世界で1番収益が発生しているジャンルだ。
ただ日本においてHIPHOPというのはまだまだ「ダサい」というイメージが一般の人には強いのは事実だ。
もちろん、日本でもここ最近のHIPHOPの勢いはすごい。
近年では『POP YOURS』や『THE HOPE』といった1万人以上の規模のフェスが開催されるようになった。
それでも多くの一般の人からするとHIPHOPというのはまだまだ
YO!!YO!!チェケラッチョ!!
のイメージが強いのだ。
また
HIPHOP=不良の音楽
というイメージがどうしてもあるので、楽曲を聴いても『悪さ自慢をしている』というイメージを持ってしまい、それがダサいと思う人が多いのだろう。
さらに、先進国である日本において『どん底から成り上がる』といったHIPHOP文化の背景を理解し難い人が多いのも事実だ。
2.一部の楽曲のパクリ疑惑
BADHOPは一部の楽曲でパクリ疑惑がある。
例えば、YouTubeで2500万回再生以上を叩き出している『Kawasaki drift』。
この楽曲は、G-eazyの『No Limit』に似ていると言われているのだ。
正直、これは素人目線から見たら、確かに似ている。
完全に一緒というわけではないが、音楽に詳しくない大多数の一般人からすると似ているとなるのも当然だろう。
3.『お金=悪』という風潮があるから
日本で『お金を持っているというのは悪だという風潮』が強く、質素な生活が美徳だという思考が定番となっている。
HIPHOPでは『Flex』と言って
俺はこれだけお金を稼いだんだぞ!
と主張する文化があるのだが、これはHIOHOPの本場であるアメリカでは
お金を稼ぐこと=何も悪いことではない
という風潮があるからだ。
実際にお金を稼ぐというのは努力の証であり、お金を稼げばどんなやつだって認めてもらえる(あまりにも非人道的すぎることをしたら別だが)
日本では先程述べたように『お金を持っている=悪』のような風潮があるので、FlexしているBADHOPを見たらダサいと思うのだろう。
4.YZERRのビーフ
10月に行われたHIPHOPイベント『AH1』にて、BADHOPのメンバーであるYZERRが、以前から因縁のあった舐達麻のBADSAIKUSHの胸ぐらに掴みかかったのだ。
事件のあと、BADHOPは『AH1』では大トリの予定だったのだが、当日に出演キャンセル。
このことがきっかけで一部ヘイターから「BADHOPはダサい」と言われてしまったのだ。
ヘッズとしての意見
これらのダサすぎるという意見はもちろんわかる。人それぞれ感想を持つのは自由だ。
ただ、ヘッズとしては黙っていられない。
先程の『BADHOPがダサすぎと言われる理由』に対しての意見は以下の通りだ。
1.HIPHOPはただの悪さ自慢ではない
HIPHOPは、ただの悪さ自慢を歌っている音楽ではない。
世間的には良くないことであったとしても、彼らが歌っているのは彼らのリアルであり、そこから抜け出すための一つの手段がHIPHOPというカルチャー。
彼らはどん底を経験しており、そこを抜け出すために必死で、彼らのリアルを歌っているのだ。
家に帰りたくないって 言ってる奴らで集まって 支払うために盗んで 彼女だって13で売春してる 生まれてすぐ迷い込む迷路 抜けさせない誰も 足元から待ってる奴等の手 振り切りGame Change
Project boyより引用
もちろん先進国である日本においては先程も述べたように、その歌詞などに共感が得られにくく『ただの不良自慢』のように聞こえてしまうのはとてもわかる。
世間では『悪いことしてる俺、カッケー』といった思想を持っている不良は山程いる。それは事実だ。
ただ彼は「そうせざるを得ない環境だった」のだ。(もちろん彼らも大人になってそれが間違っていたことだと気づいている)
この本を読めば、川崎南部がどのような環境かわかるだろう。
2.世間での『パクリ』はビジネスとカルチャーを広める手段
世間ではパクリと言われているBADHOPの楽曲。
ただこれはビジネスにおいては非常に重要なことである。
もちろん、パクリをする行為すべてを容認しているわけではない。完全な盗用というのはもちろん良くないことだ。
例えば、かの有名な画家『ピカソ』はこのような言葉を残している。
Copy artists copy, great artists steal.
ピカソより引用
この意味としては
『良いアーティストは、単に他の人のアートを真似する。優れたアーティストは、複数のソースから要素を盗み、それらを組み合わせて独自の作品を作る』
という意味だ。
ピカソは実際にアフリカの芸術や日本の浮世絵など、様々な文化を取り入れていた。
またAppleの創業者スティーブ・ジョブズも
コピーとアイデアを盗用することの境界線を掴むことがAppleのDNAだ
という言葉を残している。
Appleのコピーの例として有名なのは『iPad』だ。
実はAppleより10年も前に東芝では既にタブレットデバイスの製造を開始していた。AppleのiPadのチームはタブレットのコンセプトはそのままでApple独自のスタイリッシュなタブレットを開発したのだ。
さらにわかりやすいのは中国という国。
ビジネスからキャラクターまでを頻繁にコピーしてきた中国は、批判的な言葉を投げれられることも多い。しかし、その経済の規模、成長速度は他の国の追随を許さない勢いである。
つまりビジネスとして見た時に、世間的に『パクリ』と言われているBADHOPの戦略は大成功していると言えるのだ。
また、BADHOPが話題になり、有名になればなるほど、それだけHIPHOPというカルチャーを日本に広めることができる。
実際にもしも、BADHOPがいなければ、ここまで日本でHIPHOPのカルチャーは大きくなっていただろうか。いや、なっていないだろう(反語)
今では10代の若いラッパー数百万円する時計を腕につけたり、AwichがMステにでたりする時代だ。
彼らは
- ビジネスとしての成功
- 日本にHIPHOPというカルチャーを浸透させる
という2つの役割を果たすための手段として、先人達の音楽を取り入れたのだ。
3.お金を稼ぐことは決して悪ではない
お金を稼ぐ、ということは決して悪ではない。むしろ生きていくためにはお金が絶対に必要だ。
資本主義である現代において、経済格差はどんどん広がっている。
特にアメリカでは、イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグのような一部の成功者がとてつもない資産を保有して、プライベートジェットに乗り、豪邸に住み、美味しい物を毎日食べている。
一方、コロナ禍の影響などで、一気にホームレスに転落したり、苦しい生活をしている人が大量にいるのも事実なのだ。
もちろん、それは日本でも変わらない。
そんな中で『質素が美徳』なんて言ってられないのだ。お金は悪いものではないし、お金はないよりはある方がいい(もちろんその使い方などは個人の問題である)
BADHOPは元々、どちらかというと先程の話でも後者側だった。いわゆる貧困層だ。
有名なエピソードで言うと、BADHOPの中心人物であるT-Pablowは「母親が自分の腕に包丁を刺して、一家心中を試みた」という話がある。
多額の借金抱えた母子家庭 どなり散らしてるヤクザの取り立て 真夏なのに布団かぶって震えてた あの日描いた夢は崩れてない
Pain Awayから引用
そんな幼少期などを過ごした彼らが、HIPHOPというカルチャーで成り上がる。
これはダサいことではなく、むしろめちゃくちゃかっこいいことだと素直に思う。
YZERRの言い分は納得できる
『AH1』で起きたビーフだが、コレに関しては経緯が長くなるので、以下の記事を読んでもらいたい。
→BADHOPのYZERRと舐達麻のバタサイが喧嘩した真相とは
この記事を読んでもらえたら、どうしてYZERRがBADSAIKUSHの胸ぐらを掴むことになったのかわかるはずだ。
BADHOPはダサすぎと思うアナタに聴いてほしい曲
BADHOPはチャラチャラしてて、パクリで、悪自慢している集団だ!
どうしてもまだそう思っている方に聴いてほしい曲を紹介する。
今から紹介する曲を聴けば、もしかしたらアナタもBADHOPに対する見方が少し変わるかもしれない。
ちなみにここで紹介する楽曲は全てYouTube musicで『月額400円』で聴くことができる。その方法が知りたい方は→YouTubeプレミアムを安く利用する方法【月額400円】
1.Hood Gospel
BADHOPの代表曲の一つ。
楽曲から伝わってくる「自分たちができたから、お前にだってきっとできるはず」というメッセージを受けて頑張ろうと思ったヘッズが日本にもたくさんいることだろう。
僕はラッパーでないが、この曲を聴けば「さあ今日も仕事頑張るか!」と元気をもらえる、そんな楽曲だ。
2.Suicide
自殺をテーマにしたこの楽曲。
ここ数年、ネットでの誹謗中傷などが相次ぎ、自殺に追い込まれてしまうような悲しいニュースも起きた。
重たいテーマだが、この楽曲を聴いたら命の大切さを考え直すことができる一曲だ。
3.CALLIN’
BADHOPは元々、8人ではなかった。
他のメンバーたちもいたが、何人ものメンバーが匙を投げ(さじをなげ)1人が抜け、時には帰らぬ人となりまた1人が抜けていき、残ったメンバーが今の8人なのだ。
そんな今までの仲間達を歌った楽曲。
メロウなフロウと、仲間を想う気持ちを是非聴いてみてほしい。
さいごに:BADHOPはダサすぎなんてことはない
ここまで読んでいただいても
BADHOPはダサすぎ!
と思うのであれば
それはもちろんアナタの自由だ
正直、人の感性は簡単に変えることができるものではない。
アナタがダサいと思えば、アナタにとってはダサいし、また誰かにとってはかっこいいのだ。
ただそれでも、BADHOPの彼らがただの悪自慢であったり、金持ち自慢をしているわけではないということを少しでも理解してもらえれば幸いだ。
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