YZERRが発表したDis曲「guidance」のリリック解説・感想

HIPHOP
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YZERRがだしたビーフ曲guidanceを聴いて痺れたヤツはだいたい友達。

君はYZERRがリリースしたビーフ曲『guidance』はもう聴いただろうか。

ちなみに僕はすでにもう50回以上は聴いた。鬼リピしまくりだ。

それぐらい今回YZERRの『guidance』は良かった。半端なく良かったのだ。

ちなみに、YZERRが舐達麻やジャパニーズマゲニーズとビーフになった一連の流れや原因に関しては長くなるため、以下の記事を読んでほしい。

→BADHOPのYZERRと舐達麻のバタサイが喧嘩した真相とは

アーマン
アーマン

『guidance』を聴いて痺れた人はたくさんいるはず。

今回の記事では、YZERRが舐達麻とジャパニーズマゲニーズに向けてリリースしたビーフ曲『guidance』のリリックの感想&解説を書いていく。

あくまでも個人的に行う解説のため、認識が誤っている部分があるかもしれませんがご了承を。また本記事は敬称略しています。

本記事の内容
  • 『guidance』のリリック解説&感想

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『guidance』のリリック解説&感想

この曲が作られた発端は、舐達麻が12月1日にリリースした『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』という曲がきっかけだ。

YZERRはちょうどこの時期に投資の仕事の関係でドバイに足を運んでおり、ファーストクラスに乗ってキャビアを食べて気分良くドバイに着いた瞬間に周りから連絡でこの曲を知ったそうだ。

そのため『羽田までのフライト』というリリックはドバイから日本に帰る際に書き溜めたことがわかる。

『ワンバース3人を殺すパンチラインはまるでアディダス』というのは、アディダスの3本ラインを比喩しているリリックだ。

『面を見たら思い出す』というのは、BADSAIKUSHがRYKEYと一緒に出したYZERRをDisした『You Can get Again』という曲についてだろう。

そして『AH1』というイベントにて、舐達麻に遭遇したYZERRは舐達麻の胸ぐらを掴んだのだ。

『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』の中では、BADHOPの他のメンバーのことも言及されており

  • T-Pablowに対しては「ただの絵描き野郎」
  • その他のBADHOPメンバーは「金魚のフン」

など痛烈なDisをしていたのだ。

しかし本来は『YZERRとBADSAIKUSH』の個人間でのビーフのはず、

つまり、舐達麻として『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』という楽曲を出すことで『舐達麻とBADHOP』という構図でビーフをしかけてきた舐達麻に対してのDisをしているのだ。

「裸の王が裸の写真を求めている」というのは、週刊文春がスクープした内容を指している。

これはBADSAIKUSHがとあるタレントの女性と別れ話になった際に裸の女性を要求したという内容に関して言及している。

さらに『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』の中でBADSAIKUSHがYZERRのことを「資本主義の豚野郎が」と表現したことに対して「快楽主義の豚野郎が」と同じような表現でDisしているのだ。

YZERRの話によると、BADSAIKUSHは2019年に『You Can get Again』というYZERRのDis曲に参加したあと、RYKEYが捕まった後にYZERRに対して謝罪をしていたそうだ。

そして『草を分ける』という表現。

『草を分ける』というのは本来の意味は「あることを最初に始めること」という意味だ。

なので、今回の騒動を始めたことに対しての『草分け』という意味が1つ。

それに加えて、舐達麻のリリックでも頻繁にでてくる『大麻』は日本で『草』と表現することが多いので『BADSAIKUSHがYZERRに歩み寄ろうとしていること=草(大麻)を分け合う』というダブルミーニングとなっているのだ。

これはBADSAIKUSHがインスタライブをしている時に大麻を吸いながら、コメントしてきた一般人たいしてキレている動画が一時期話題になっていたことを指摘している。

そして『大麻好き=草が好き=草食男子(世間的には弱いイメージ)&ヴィーガン(肉を食べない)』と表現。

HIPHOPでは争うことを『ビーフ』と表現するが『ビーフ(肉)を食べれない草食男子のヴィーガン』とユーモアある表現でDisしている。

BADSAIKUSHは以前インタビューで『他所は他所で、他所を気にするやつはBitchなんですよ』と答えていた。

しかしYZERRからすると『他所は他所』と言ってたのにも関わらず、数年前に出した楽曲とDisの内容が一緒なので、『他所は他所というスタイルではなく、俺に興味を持ってるじゃねえか』という意味が込められていると考えられる。

今回のビーフの一連の騒動に対して、ファンやヘイターの間では『東京ドームが控えてるからBADHOPの売名のためにしているのではないか』と噂になっている。

また『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』の中でも「売名で売れればいいなドームチケット」というDisがあった。

しかしそれに対してもYZERRは『先に売れてた俺に売名は無理がある』とアンサー。

さらには『お前のDisはブーメラン』と今回の騒動で逆に売名できているのは舐達麻の方だと言及しているのだ。

実際に『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』は再生回数が1000万回を超えており、普段、舐達麻を聴かない層にも知れ渡ることになった。

このリリックに関しての真偽は定かではないが、舐達麻の不義理が原因でさまざまな人たちから詰められているという噂がある。

X(旧Twitter)でもこんなツイートがある。

これが本当かわからないが、YZERRはこれらのBADSAIKUSHの不義理に対してもDisをしているのだろう。

今回の舐達麻の楽曲はかなりのネット民を味方につけたのは事実だ。

確かに楽曲としてのクオリティは非常に高く、1つの作品としてはまるで短い小説を読んでいるかのようだった。

しかしそれに対してもYZERRとしては「以前までは反社会的なリリックだったのに、今回はネット民を味方につけるのか」と言及。

ちなみに、ナードというのは「オタク」「ガリ勉」「まぬけ」など相手をバカにするスラングだ。

このリリックは、舐達麻の楽曲の中のリリックで「R.I.Pは104」と言っていることに対しての言及だ。

舐達麻にはもともと「104(トシ)」というメンバーがいた。

舐達麻のメンバーは2009年6月3日、金庫破りをした後に警察から車で逃走中、コンクリートに突っ込む交通事故を起こす。

その際にメンバー「104(トシ)」は全身強打で死亡。BADSAIKUSHは気絶したものの逃走し、現行犯逮捕。

R.I.Pというのは『Rest in Peace』の略で、安らかに眠れという意味のスラングだ。

しかし直近でBADSAIKUSHは付き合っていたタレント女性との間に子どもができるとなった時、責任を取らずに流産させたという出来事を週刊文春にスクープされたのだ。

そのため、YZERRは「死んだ友人に対してR.I.Pと言うのなら、新しい命も大切にしろ」ということをDisしているのだろう。

フックとなるこのリリック。

少し哀愁が漂う雰囲気は、YZERR自身が人間の弱い部分を知っているからこそ、このようなリリックになっているのだろう。

実際にYZERRは自身が出演していたラジオでも「根は悪いやつではない」とBADSAIKUSHのことを語っていた。

自分の弱さを認めるのは、誰だって怖いことである。Dis曲ではあるが、このリリックは多くの人の胸に刺さるのではないだろうか。

ここからは今回のビーフの発端でもあるジャパニーズマゲニーズへのDisになっていく。

「酒の席で起きたことは謝罪されりゃ水流す」というのは、THE HOPEというイベントのアフターでYZERRが孫GONGに殴られたことを言及している。

「他人が入り水を差す」というのは、孫GONGがYZERRに手を出した際に仲介役として名乗り出た阿修羅MICのことだろう。

そして「最後は看板を出す」というのは、孫GONGの父親がヤクザであり、いざこざがあった際に自身の看板である名字を執拗に連呼していたことからそのように言及していると考えられる。

「低姿勢は土地柄」というのは、ジャパニーズマゲニーズがYZERRに対してだした楽曲の中で「会ったらいつでもペコペコ」と言われていたことに対してだろう。

YZERRが生まれ育った川崎では、入れ墨を見せて歩いてはいけないぐらい下の人間が上の人間に対して敬意を示さなければいけないような場所だ。

だからこそ、低姿勢なのは土地柄だ、と主張しているのだろう。

元々は孫GONGもYZERRに対して謝罪をしていたのだが、突然、舐達麻のDis曲に続き、同じトラックを使いジャパニーズマゲニーズもDis曲を発表。

その流れに対してYZERRは呆れたというよりも、もう対話するのを諦めたという心情を表しているのだろう。

YZERRは以前インスタライブでも「これ以上、地元の川崎が舐められてほしくない」と言ってたように、川崎という場所に対して人一倍思い入れがあるはず。

自分たちが大切にしているのは『義理と人情』であり、不義理をするような人たちは理解ができない、というのが本音だろう。

これはジャパニーズマゲニーズに向けてのDisでもあるように見えるが、主に舐達麻へのDisだろう。

YZERRもラジオで語っていたように、舐達麻は「レペゼン熊谷」と楽曲内では話しているが、実際には熊谷のクラブを出禁になっており、地元では指示されていない、ということに対して言及しているのだろう。

YZERRは実際にHoodの後輩であるCandeeと楽曲『TEIHEN』を出して、100万回再生以上を叩き出したり

自身のアルバムに同じくHoodの後輩であるDeechを客演に迎えて、若いラッパーを持ち上げている。

また地元川崎に無料で利用できる音楽スタジオを建設したりと、地元への貢献はハンパない。

YZERRは「シーンが進化していくことに対応すること」というのはラッパーとして当たり前のことだと認識している。

もちろん、トラップなどの音楽ジャンルが『嫌い』というのは個人の自由である。

ただラッパーとして『トラップのビートに乗れない』というのはただのスキル不足だということだ。

例えで言えば、ガラケーを使っている人がiPhoneの使い方もわからず「iPhoneはおかしい」と言ってるようなもの。

そして『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』でBADSAIKUSHが「お前がverbalで俺がSEEDA」と言ってることに対しても「フロウができないお前が引き合いにだす(なんてありえないことだ)」と言及。

ちなみにSEEDAとverbalはどちらも日本のHIPHOP界のOGだ。

2人のビーフはverbalがTERIYAKI BOYZで出した楽曲『SERIOUS JAPANESE』という曲の中でSEEDAの楽曲のリリックの引用、そしてイントロ部分でSEEDAに対するガヤのようなものがあり、SEEDAは自身へのDis曲だと認識。

そこからSEEDAもアンサーソングを発表し、これらの流れは『TERIYAKI BEEF』と語られている。

実際のところBADHOPを手本としているラッパーが数多くいるのは事実だ。

最近ではWatsonが『Feel Alive』という楽曲のリリックの中で「人生変えたのはT-Pablowのパンチライン」と表現していたり

Jakenは『DONZOKO』の中で「YZERRの歌詞が俺の痛み止め」と述べている。

それ以外にもEric.B.jrはムショにいる頃、塀の外にいる友人からYZERRとT-Pablowの楽曲『Projectboy』のリリックを手友人から紙でもらい、いつか必ず自分も成り上がると心に決めていたそうだ。

Eric.B.jrのInstagramより引用

さらにはラップスタア誕生で優勝したEydenも『俺をラップスタアにしてくれたと言っても過言ではない』と発言している。

また、一部のラッパーは『トラップはクソ』『今のラッパーは流行りに乗っかっているだけ』と発言するラッパーもいるが、そのラッパーが好んでいるスタイルも、その当時の流行りだということを忘れてはいけない、ということをYZERRは提示しているのだろう。

ラップスタア誕生はYZERRも審査員として関わっていたテレビ番組。

それぞれのラッパーのスタイルはあるが、ラップスタア誕生では『フロウ、リリック、韻、たち振る舞い、生い立ち』など総合的な評価で審査される。

そんなラップスタア誕生だったらお前らのラップは予選落ちだというのは「単純にラップスキルがない」ということを伝えているだけではなく「あぐらをかいてる中堅よりも若手のほうがラップうまいやつは山ほどいるぞ」ということを表現しているようにも取れる。

さらに畳み掛けるように「時代の足を引っ張る田舎者」と進化していくシーンに対して、今回のDisをしてきた2組のラッパーに対してDis。

裏路地と茨道は、YZERR自身は「裏路地(ストリート)にいたが、そこを抜け出すために自分から茨道に進んだ(でもお前らは裏路地に足を突っ込んだまま)」ということを表現しているのだろう。

ここのリリックはおそらく、ジャパニーズマゲニーズがYZERRに対してDisした内容に対して、自分なりのHIPHOPの定義を改めて再提示しているのだろう。

YZERRおよび、BADHOPは間違いなく日本においてHIPHOPのブームを作った張本人ではあるが、名前が知れれば知れるほどメディア露出も増え、YZERRに対して「チャラチャラしている」「HIPHOPをわかってない」と勘違いする人が増えるのも事実だ。

しかし、YZERRにとってのHIPHOPは川崎南部というゲトーから抜け出すための救いであり、またクラシックというのはただ「作品」として生まれるものではなく、切り取った一部の時代を本気で生きてきた証として生まれるものなのだ、と主張している。

この楽曲を発表する時にYZERRは自身のインスタグラムのストーリーで「人間性がどうでも、音楽が良ければそれでいいなんてのはHIPHOPからかけ離れている」と発言している。

YZERRのInstagramより引用

もちろん、今の時代は多様性の時代であり、HIPHOPまた色々なジャンルが細分化されているが、HIPHOPとは生き様であり、それを反映するものだという認識は根底にあるべきだと思う。

ここらへんのリリックから、YZERRは2組にDisをしているだけではなく、改めて今のヘッズやシーンに対しても自分の考えを提示しているようにも取れる。

そしてこのサンプリングだ。

これはHIPHOP界のレジェンドであるMACCHOとKREVAが長年ビーフの状態が続いていたのだが、2023年に和解し2人で出した「Player’s Player」をサンプリングしている。(厳密にはKREVAはDisしてなかったそうだが、そこは割愛)

YZERRがここであえてこのリリックをだしたのは、個人的な見解だが、今回Disしてきた相手に対してのリスペクトもあるのだと感じる。

ラジオやインスタライブを見ていても、YZERRは「別に相手のことは嫌いではない」「JAGGLAのラップはかっこいい」「根は良いやつ」などと発言していることもあるし、実力はしっかりと認めているのだろう。

そもそも、YZERR自身は今回の一連の騒動が起こる前も、孫GONGとも交流があり、京都でANARCHYとライブするとなった時はぜひ来てほしいという話になっていたというエピソードもある。

ヘッズとしては、馴れ合いが見たいわけではなく、また本人たちもそれは望んでないかもしれないが、数十年経ったあと、今回のビーフに関わったラッパーたちが曲をリリースしたら胸アツだろう。

今回の楽曲の1番のパンチラインといったら、多くの人がこのリリックを挙げるだろう。

舐達麻は楽曲の中で「大麻」に対してよく言及している。そして日本では大麻所持は刑罰の対象になるため、そのことに対して「Fuck The Police」というワードを使っているのだ。

しかし、HIPHOPを少し知っている方ならこの「Fuck The Police」というワードは、1980年代にギャングスタラップでアメリカ全土を席巻した「N.W.A」というクルーの代表曲だということはご存知だろう。

YZERRとしては「Fuck The Police」というワードを使うにしては、平和な日本において大麻が吸えないぐらいで言うのは見当違いだということを表現している。

そして、その後に続くリリックは、自分が救われたHIPHOPという文化に対して、先人へのリスペクトが感じられる。

N.W.Aもそうだが、黒人たちはただ外に歩いてるだけで理不尽な言いがかりをつけられて逮捕されたり、直近では2020年5月にアメリカのミネソタ州にてジョージフロイト氏が白人警察に暴行を受けて死亡するという事件もあった。

そんな歴史の観点から見ても、大麻が吸えないぐらいで「Fuck The Police」という言葉を使うのは、あまりにも軽すぎるということを言いたいのだろう。

ジャパニーズマゲニーズがだしたDis曲の中で「T-PablowとYZERR」という双子をDisする表現として「おすぎとピーコみたくdickでも咥えな」という表現をした。

これも一部で物議を醸したが、YZERRは「人種、職業、性の違いで俺はしない判断」としっかり返している。

ここでは改めて舐達麻に対してDisをしているのだろう。

「レペゼン熊谷」と言っても熊谷のクラブを出禁になっていたり、BADHOPがライブを飛んだことを指摘していながらも、2024年に入ってからのライブを舐達麻が出演辞退していることなど、裏での事実と、歌詞で言ってることが違うんじゃないかと指摘している。

そしてそんな言葉は、子どもたちには刺さるが、それ以外には響かないぞ、と言っている。

舐達麻は逮捕を誇っているわけではないだろう。

ただ、リリックの中でもたびたび逮捕に対して言及しており、今回の『FEEL OR BEEF BADPOP IS DEAD』の中でも「こっちはガキの頃から塀の中と外行ったり来たり」「デコに頼るやつは作らねぇ逮捕T-Pablowシャツ」などと言及しており『逮捕』をブランディングとして利用しているのは事実だ。

それに対して、仲間を証言台に立たせるのではなく、表彰台に立たせるという表現をしている。

この『表彰台』というのは、比喩表現で「武道館」や「横浜アリーナ」というラッパーだけではなくアーティストなら誰しもが憧れる舞台のことを指しているのだろう。

そして次のリリック『ラップで回すこの国の経済』というのは、T-Pablowが『第一回高校生ラップ選手権』の決勝で放ったパンチラインをサンプリングしている。

ここであえて双子の兄であるT-Pablowの表現をサンプリングしつつ、実際にBADHOPがこの約10年動き続けたことでHIPHOP界隈の経済はかなり動いただろう。

ここで、YZERRはパクリについて言及している。

これはヘッズの間でもさまざまな憶測が飛んでいるが、個人的に思うのは、おそらく『Life Style』『Back Stage』のことを指しているのではないだろうか。

この2曲に対しては、たしかにフックの部分のフロウが完全に一致しているので、YZERRも憧れから真似をしたのだろう。

しかし驚きなのが、Life Styleが2016年で8年前、Back Stageが2019年で5年前だということだ。

「若い時は猿真似って、YZERRいつの話してるんだよ…」と思う人もいるかもしれないが、YZERRも2024年で29歳。20歳前後はYZERRにとって若い頃というのもおかしくはない。

さらに「抜け出すのに夢中で、飯食わすのに必死で、上がっていく途中で、ふざけんじゃねえよくそったれ」というのは、このDis曲の中でも1番本音を感じ取れる部分だ。

本当に、当時のYZERR、そしてBADHOPのメンバーは川崎南部という環境から抜け出すのに必死だったのだろう。

必死に毎日生きてる中で這い上がっている中で、外野からは「パクリだ〜!」と言い続けられたら、そりゃ「ふざけんじゃねえよくそったれ」となるのもわかる。

もちろん、パクリを推奨しているわけでもないし、パクリは良いことではない。ただそれぐらい必死だったのだ。

「無責任な歌詞じゃねえから、本当のことは語れねぇ」というリリック。

一見文字だけをみると「BADHOPが書くリリックはリアルじゃないってこと?」と思う方もいるかもしれないが、そのような意味ではないだろう。

HIPHOPという業界、もっといえば川崎という場所で生まれたら、嫌でも反社会的な存在との関わりも増える。

ただ、BADHOPは表でも活躍をしており、さまざまなイベントや番組にも出演している。

そんなグループがすべてを語るリリックを書いていたら、どうなるかは想像できるはずだ。

反社会のリリックを書けば、別の仕事に迷惑をかけることもあるかもしれないし、誰かを傷つけることになるかもしれない。

もちろん、反社会的なことだけを指しているわけではないだろう。

関わる人が多くなればなるほど、YZERR自身もたくさんの情報を手に入れるし、業界の裏側や権利の関係などで話してはいけないことなんて山のようにあるだろう。

それらに対して「BADHOPという知名度」を考慮した上で、無責任なことは言えない、という意味でのリリックなのだと考察する。

YZERRは、孫GONGに殴られた後のインスタライブでも「言ってないだけで何度も襲撃されたことがある」と語っている。

しかしそれでも自分がHIPHOP界でトップに立っている自覚があるからこそ、口を閉じて進んできたのだ。

そして最後のパンチライン『売名だけで立てるなら立ってみろよ東京ドーム』と自分たちが今まで積み上げてきたものの重さと、しっかりと最後の東京ドーム公演を宣伝する粋な締めくくり方。

中には「結局宣伝かよ」という人もいるが、当たり前だがBADHOPは非営利団体ではない。

家庭をもっているメンバーもいるし、お金を稼ぐことは悪ではない。そこは忘れてはいけない。

ただ、あくまでも今回の騒動が売名だというのであれば「売名だけで立てるなら立ってみろよ」としっかりそこに対しても言い返すYZERR。完璧だと言わざるを得ないだろう。

総評:YZERRという男はすごかった(再認識)

今回のアンサーソングで、HIPHOPとはなんぞやということを改めて考えるきっかけとなった。

今ではHIPHOPの中でもさまざまなジャンルがあり一概に「これがHIPHOP」という定義をするのは難しい時代になっている。

海の向こうの本場アメリカでも「これはHIPHOPだね〜」とか「これはHIPHOPじゃないね〜」なんて区別はいちいちつけない(そもそもそんなレベルの話をしない)そうだ。

ただ、僕が個人的に思うのは「HIPHOPが生まれたルーツをたどり、その先人たちへのリスペクトを持つべき」ということだ。

今回のYZERRのアンサーソングでは、相手に対するDisだけではなく『自分たちが解散する前に、改めてこれからの世代に伝えておきたいこと』を曲にしているような気がした。

そして2024年2月、東京ドームのラストライブを成功させたYZERR。

今後のYZERRの動きにも注目だ。

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